セレモニーの始まり
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日本の伝統的な茶室には、小さな入り口があります。
「躙口(にじりぐち)」と呼ばれるその入り口は、低く、狭く、あえて慎ましく設けられています。そこをくぐるためには、どのような客人であっても、必ず頭を下げなければなりません。
身分も、肩書きも、立場も、その外に置いていく。
中に入るのは、ただ一人の人としての自分だけです。
16 Matchaは、ここから始まります。
### 16 Matchaというハウス
私たちは、日本の茶道が受け継いできた伝統と思想を礎とする、独立したセレモニアル抹茶のハウスです。
カフェではありません。
一過性のトレンドでもありません。
ひとつの「ハウス」——日々の暮らしの中に、茶の所作と精神を生かし続けるための場所であり、ひとつの思想です。
私たちが、この営みを生み出したわけではありません。
抹茶へとつながる歴史は、千年以上前にまでさかのぼります。中国・唐代の粉末状の茶から、宋代に洗練された茶の文化を経て日本へと伝わり、日本の茶人たちによって「茶の湯」へと形づくられていきました。
和敬清寂。
調和。
敬意。
清らかさ。
静けさ。
その茶人の一人である千利休は、茶室に躙口を取り入れたことで知られています。
一碗の茶を点てるよりも前に、茶の時間は謙虚さから始まる。
躙口は、そのことを私たちに思い起こさせます。
私たちは、その歴史を自分たちのものとして語るつもりはありません。
ただ敬意を払い、そのほんの一部を、次の時代へと丁寧に受け継いでいきたいと考えています。
### Why Sixteen — 「16」という数字
「16」という数字には、私たちにとって一つだけではない意味があります。
剣道や禅をはじめとする修練の世界において、私たちは「16」をひとつの境目として捉えています。
意識して続けていたことが、やがて自然な動きへと変わっていく地点。
教えが言葉として意識されなくなり、行いそのものの中に溶け込んでいく地点です。
そして16 Matchaにとって、「16」にはもう一つ、静かに込めている意味があります。
それは、書き記したり、ルールとして明文化したりするものではありません。
大切に残していきたい多くのものがそうであるように、説明によってではなく、時間をかけ、実践を通して受け継がれていくものです。
### 最初にお届けするもの
私たちは、まず一つのものから始めます。
日本産のセレモニアルグレード抹茶です。
抹茶は、使い捨てるのではなく、大切に保管し、詰め替えながら長く使い続けられる缶に収めてお届けします。
一つひとつの缶は、単なる容器ではありません。
自宅で、一碗ずつ自分自身の茶の時間を育てていくための、小さな「器」です。
16 Matchaをあなたの日常に迎えるとき、私たちが願っているのは、単なる土産物を持ち帰っていただくことではありません。
そこから、一つの習慣が始まること。
季節が巡っても、何度でも立ち戻ることのできる、自分だけの茶の時間が育っていくことです。
いつか16 Matchaは、抹茶バーという空間へと広がっていきます。
それは単なるカフェではありません。
一つひとつの缶に込めてきたのと同じ思想を、その場で体験し、分かち合うための場所です。
そこでは、ゲストにただ「サービスを提供する」のではなく、一人ひとりをお迎えします。
茶は大量に生み出されるものではなく、一服ずつ、その場で心を込めて点てられます。
### 販売ではなく、ひとつの招待として
私たちは、あなたに急ぐことを求めません。
ここにあるものは、期間限定ではありません。
流行を追いかけるためのものでもありません。
私たちがお届けしたいのは、それよりもずっとゆっくりとした時間です。
ほんの数分でも静かに座ること。
一つのものを丁寧に準備すること。
そして、その時間を過ごしたあとに、自分の中で何が少し変わったのかに気づくこと。
そんな機会を届けたいと考えています。
16 Matchaというハウスは、一つの缶から始まります。
そしていつの日か、その先にある場所へ、あなたをお迎えできる日が来るかもしれません。
形が缶であっても、扉のある空間であっても。
私たちが大切にすることは、変わりません。
